2013年11月04日

11月

秋も深まる11月となりました。
月日の流れは早いもので、今年も残すところ2ヶ月となりましたが
皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。
毎年の事ではありますがこの時期になると食材も秋冬の物が揃いだし、21日にはボージョレ・ヌーボーも解禁となります。
食いしん坊の私には大変幸せな時期になるわけですが
皆様も是非、この時期のお料理をお楽しみください。

さて、今回のblogではこのところ問題になっている全国の大手飲食店やホテルのメニュー誤表示に関する私の思いと当店のメニューについてお話させていただきたいと思います。

この誤表示の一件により、結果的に多くのお客様や生産者の方たちに多大なご迷惑をおかけし、飲食業界からの裏切り行為となってしまった事は同じ世界にいる私としても大変恥ずかしく思っております。
私達、料理人にとってメニューは誇りです。
その誇りであるメニューにおいてなぜ、このような事が起きてしまったのか。
それは「経営者と料理人の溝から生まれる歪み」が明確な形になって表れてしまっている事が原因だと思われます。

経営者と料理人では目的が少し違います。
経営者はお客様にご来店していただき利益を上げることを目的とし、より多くの利益を上げた人が優秀とされます。
他方料理人はお客様に美味しいと評価される事を目的としています。
例えば一日一組しかご予約のない日があった場合経営者としては他にご予約のある日にご案内し、その日を閉めたほうが効率の良い経営が出来ると考えるでしょう。
しかし料理人は例え一日に一組のお客様でも、その日ご満足頂けるよう全力でお応えします。
この考え方の差が、侵してはいけないお客様の食材の偽装にまで及んでしまったと想像しています。
逆に言えばこれは「お客様の満足を最優先」とするオーナーシェフ形式のお店ではまず有り得ません。


経営者が料理人より優ってしまったゆえの歪み。
その延長として日本では「利益ファースト」の体質がいつしか当たり前になってしまっており、その事を賞賛する形でメディアに取り上げられる事も増えているような気がします(激安店、年商○○億円の店等)。
皆様の未来を担う毎日の食事にこのような思想が果たして必要なのでしょうか。
いつも疑問に思います。
これを機に、お客様の事を考え満足頂けるよう努めていくお店が増えていく事を心から願います。



最後に、当店のメニューについて少しご説明させて頂きます。

当店のメニューは基本的には産地なども書かず「食材のみの表記」という極めて異例な形をとっております。
それは大きくわけて3つの意識から由来します。

まず1つ、そのとき最高の食材をつかうこと。
食材は間違いなく生き物であり、同じ物に出会える事は決してありません。
産地や流通を限定してご提供する事よりも様々な食材との一期一会の出会いを大切にしています。
産地などを明記致しますと、もし他の産地や流通にてより良い状態の食材があっても残念ながらそれを使用することが出来ません。
それは私の考えではあってはならない事であり、それが記載を行わない理由の一つとなっています。

1つ、食材の声を聞くこと。
当店は調理法も記載しておりません。それは、
「焼いて欲しいのか蒸して欲しいのか」
その食材食材自体が伝えてくれる声に耳を傾け、そのときどきによって最高の形でお出しする為です。

最後に、お客様にとっての「最良」であること。
お客様にはお客様それぞれの嗜好があります。
料理人の押しつけで終わらず、常にご要望に柔軟にお応えする事が出来るの事も大切な理由の一つであります。

「すべてが食材とお客様の為に、料理人とはその架け橋であること」
その想いを元に創りだされた当店のメニュー。
ご理解頂けますと幸いです。

以上、僭越ですが当店のメニューへの考えをお話させて頂きました。
私の理想が少しでもお客様に伝われば幸いに思います。




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posted by オーナーシェフ山田直正 at 20:28| Comment(0) | 日記
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